『臥龍梅』を後にし、その後はラ・ファリネッラの商品を扱っていただいている静岡市内の長島酒店さんへ。
長島さんはワインに特化したお店で、なんと本場フランスのボルドー大学にてワイン利き酒資格を取得している超エキスパート。
私なんぞ足下にも及びません。
ワインの品揃えも素晴らしく価格も良心的。
輸入食品なども豊富で、日本酒は静岡県のほとんどをカバーしており壮観。
素晴らしい品揃えのお店ですので、静岡を訪れた際は是非、お立ち寄りくださいね。
ワインのセレクトが当店と似ているのでちょっと嬉しかったりして。。。
こちらで静岡の酒事情の情報などをいただきお次は地場の酒問屋さんへ。
こちらの問屋さんは当たり前と言えば当たり前なのですが、静岡酒の品揃えが充実。
社長さんに静岡県内の全蔵元の情報を詳しくお話しいただきました。
静岡県外のお酒のラインナップも素晴らしく、当店とのお取り引きも決まったので近いうちになかなか手に入らなかったお酒も一気に増えると思いますよ。
お楽しみに!
この一日は静岡のお酒事情についての情報をたくさん仕入れることができたのですが、現在の事情を簡単に説明すると蔵によって方向性が真っ二つに割れているそうです。
静岡県はこの記事の題名にもなっているとおり「吟醸王国」と呼ばれています。
この由来は昭和57頃に静岡県が独自に生み出したいわゆる「静岡酵母」を使用し、昭和61年の全国新酒鑑評会において静岡県から21場出品したうちの10場が金賞、7場が銀賞という好成績を収め、この受賞率は全国でもトップクラスであったために静岡県は「吟醸王国」として一躍有名になりました。
しかし、近年の品評会においてはデリシャスリンゴのような香り、つまりカプロン酸エチル系の香りが強い酒が高く評価され、静岡酵母のようにバナナやメロン系の香り、つまり酢酸イソアミル系の香りはあまり評価されないために「静岡酵母」による「吟醸王国」ながらも「静岡酵母」を段々と使用しない蔵が増えていっているようです。
『臥龍梅』などは最も典型的で静岡酵母は一切使用していません。
これは品評会自体の問題が大きいと思いますが、ずらっと並べられた酒を利き酒していった場合、どうしても穏やかな香りよりも華やかでインパクトのある香りが評価されてしまうのは仕方のないこと。
ここで評価される酒を造るか否かは蔵元の方向性でしょう。
その方向性が真っ二つに分かれているために静岡酒の酒質も典型的な静岡型と異なるものとに分けれているのが現状です。
私が考えるには無理して静岡酵母を使用する必要性はないと思いますし、どんな酒を造りたいかを頑なに貫き通すかが、最大の問題だと思います。
私は典型の静岡型も好きですし、『臥龍梅』のように異なったスタイルも好き。
しかし、どちらも時の流れから生まれた静岡酒だと思います。
実は私は静岡のお酒には思い入れがあります。
私が酒屋を始めた十年ほど前に現在も当店で扱っている静岡最大の蔵元「花の舞」が東京に初進出して当店が最初に取り扱いを始めました。
それが縁で、静岡のお酒を色々と見る機会が増え、扱ってみたいお酒がたくさん見つかりました。
しかし、当時はまだ東京では「静岡の酒」はほとんど知られておらず、当店の店頭で試飲会をやっても「静岡の酒なんてうまいのか?」「静岡の酒なんて飲めたもんじゃねぇ」と偏見の嵐でした。
そんな偏見を覆したいと思い、当時、静岡酒をアピールしたいと考えていたのですが、まだ酒屋を始めたばかりの私には右も左もわからない状況で、一歩を踏み出す勇気がなかったために実現しませんでした。
その後、声を掛けていたお酒たちが次々と有名になっていき、少し悔しい思いもしましたが、やっぱり「静岡の酒」は「品質が高い」と信じていた私に自信を持たせてくれたのも「静岡酒」なのです。
そんな中で私が今も昔も愛して止まないのは「磯自慢」。
「磯自慢」さんは古くからのおつきあいの酒販店だけで販売されているために当店では取り扱うことはできないのですが、どんな蔵なのが一度見てみたいと思い、アポイントもなしに行ってみました。
お取り引きがないのでもちろん蔵には入れていただけませんでしたが、「磯自慢」の名の通り、蔵は焼津港のすぐ近く、小さな川のほとりに位置するきれいな蔵です。
外からできる限り、中の様子を覗いてみると完全冷蔵完備がされているようで広い敷地内すべてが冷蔵庫のようです。
暖かい静岡で安定した素晴らしい酒を造り続けているのはここに秘密があるのですね。
蔵も非常にクリーンな印象で綺麗な酒質にも納得がいきました。
突然の訪問にも関わらず、酒粕までいただいてしまい奥様ありがとうございました。
粕汁にして磯自慢 特別本醸造しぼりたてと美味しくいただきました。
それにしてもやっぱり美味いね!
次回は「静岡型」の典型酒。
「志太泉酒造」訪問記をお送りいたします。
吟醸王国静岡訪問記~その弐
吟醸王国静岡訪問記~その四