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吟醸王国静岡訪問記~その弐

「清見寺(せいけんじ)」を後にし、いよいよ「臥龍梅」の仕込み蔵へ

P1010772 蔵に到着すると杜氏の菅原さんにご挨拶。

写真右が鈴木社長、真ん中が菅原杜氏です。

杜氏さんは南部杜氏で、おっとりと優しいオーラがにじみ出ている本当に「いい人」といった印象。

どことなく元プロボクサーのあの方に似た雰囲気でほのぼのとした感じが大好きです!

でも、ほのぼのとした外見の中に酒に対する生真面目さや熱い思いが感じられ、あの素晴らしい酒質が生み出される理由を感じさせられました。

ちなみに写真中央に移っている稲は鈴木社長が3年の月日を掛け復活させた『山田錦』の祖先である「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」です。

前年度の造りより始め、その酒質の素晴らしさには日本酒業界びっくり仰天だったので、「臥龍梅」ファンのみなさまにはもうお馴染みですよね!

それにしてもこの稲穂の高さはすごいですね。

これだけ高い稲を育てるのは本当に大変なことだと思います。

良い酒が飲めるのも農家のみなさまの努力のお陰だということが、稲を見るだけで感じさせられますね。

さて、蔵の中に潜入ですが、こちらの蔵は本来、蔵人以外は立ち入れないそうで販売店であろうともなかなか入れてもらえず今回は特別ということでレアなレポートですよ!

P1010760 こちらは洗米と限定吸水。

やはり仕込みが小さいだけにサイズも小さいですね。

P1010761 甑も小さくかわいいサイズです。

少量で丁寧に米が蒸されていきます。

P1010764 米が蒸し上がると放冷し、米を適温に下げていくのですが、静岡県は基本的に冬でも暖かいために冷蔵庫内で放冷を行います。

温度が均一になるように小さなトレーに分けて行われているのがわかりますね。

P1010765

こちらは酒母室。

お酒のもととなる酒母を育てる蔵ですが、先の理由と同じで冷蔵管理されています。

『臥龍梅』は総米600kgという全量極少量仕込みで、一般的な蔵の大吟醸造りと比べてもかなり小さな仕込みですが、鈴木社長の「手間暇を目一杯に掛け、最高品質の酒を造るため、そして、自分たちで目の行き届く範囲の造り」を行いたいとの気持ちからこのような小さな仕込みを行っています。しかし、最盛期にはタンクがフル回転でかなりの忙しさをこなすとのことでした。

P1010767 こちらは麹室。

完全に温度・湿度コントロールがされ全量箱麹で丁寧に麹づくりが行われています。

写真に撮り忘れてしまいましたが、この室には秘密兵器があり、麹の温度が蔵の隣にある宿舎で蔵人の枕元でもわかるというハイテクな設備も備わっていました。

それにより麹室の横で仮眠し、何度も夜中に温度をチェックするという手間が省けているとのこと。

蔵人も少しでも休めた方が、良い仕事ができますしね。

完全手造りでもこういった最新設備は酒質の向上につながるものですね。

P1010768 「枯らし」場です。

きっちりと麹もハゼ込んでおり、甘い麹ができていました。

P1010766 搾りは写真のヤブタと袋吊りで行います。

臥龍梅の新酒と言えば「袋吊り雫酒」は大人気商品。

少量生産のためにすべての酒においてすぐに蔵で完売してしまうのですが、搾ったタンクを見てみると納得。

ヤブタで搾る半分どころか三分の一程度の量しか絞れていないんです。

手間暇かけてその程度しか量が取れないんですから価格と品質的に見たら「超サービス品」ですね。

高品質な酒を飲み手に伝えたいという鈴木社長の気持ちがよく伝わります。

これからは更に心して飲まねば「臥龍梅 袋吊り雫酒」。

ちょうどヤブタで搾ったばかりの酒をいただいたのですが、これが美味い!

しぼりたてならではのピチピチとした爽やかな刺激にフレッシュ感はやはり蔵でしか楽しめないものですね。

飲んだ感じで社長に「五百万石ですか?」と聞くと「違うよ誉富士(山田錦の子孫)」だよとの答え。

「最高にいいですね!今年の誉富士は!」

「うん。こりゃ最高の出来映えの純米吟醸だ!」

とやりとりし、蔵人に社長が「今年の誉富士は最高にいいな!」と言うと蔵人が「あれは誉富士じゃないすよ。レギュラー酒です。」

「・・・マジ!!???」

つまりは純米吟醸クラスでなく、普通酒のレギュラー品だったということ。

これには驚いた。

普通酒で社長も私も間違えるほど出来が良いのに純米吟醸になったらどんだけ美味いんだ今年の酒は!

暖かい静岡で冷蔵完備がされているといってもやはり酒造りには寒い方が良い。

この日は社長が生まれ育ってからも希に見る寒さということで今年の『臥龍梅』はいつも以上に美味くなるとのこと。

まだ、新酒をお試しでない方は是非、お試しを!

2月にも新たな新酒が入荷予定ですよ!

臥龍梅もまた素晴らしく手を掛け、造りの隅々に手が行き届いていました。

『臥龍梅』は社長も断言しているとおり、「静岡の酒」であって「静岡の酒」ではありません。

それはどういうことかというと静岡の酒蔵ながら「静岡酵母」を使用せず、米も県外産、杜氏は岩手から。

静岡のものと言えば蔵の裏山より湧き出る中軟水の仕込み水だけです。

鈴木社長の考えでは静岡酵母自体が好みに合わないそうですが、静岡酵母では限界があると考えておられ、米も栽培の難しい地元よりも県外の最高品質のものを使用し、最高の酒を造りたいとのこと。

事実、国内外の各鑑評会やコンクールで数々の賞を総なめにしており、『地酒』という枠を飛び越して「世界に通じる酒造り」を行っているのが『臥龍梅』なのかも知れません。

すでに完成されている感のある酒ですが、まだまだ進化し上を目指していますので、皆様、今後とも応援よろしくお願いいたします。

さて、次回は『吟醸王国』と言われる(言われてた?)静岡地酒の現状と志太平野の『静岡酒』である「志太泉酒造」の蔵訪問をお送りいたします。

静岡県清水市・三和酒造『臥龍梅』販売ページ:http://yamazakiya.biz/garyubai.html

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