涼しくなってきたので燗酒を
だいぶ涼しくなってきて秋らしい空気に変わってきました。
今日はお店の前に永福町界隈で最後の御神輿が通り、この御神輿が通ると秋がやって来るという感じです。
こういった陽気になるとやはり日本酒を求めるお客様が急に増えていきます。
やっぱり皆さん日本人。
秋の風を感じると自然と美味しい食と酒を求めてしまうんですね。
旬を重んずる日本人らしい感覚です。
当店では昨年あたりから「お燗して美味しいお酒下さい。」いうお客様が増えてきており、特に若い女性に人気です。
今日、下高井戸のおでん屋さん「たら福」のご主人と話していたらお店で「お燗を下さい。」というお客様が増えているという嬉しいお言葉をいただきました。
温めて飲むという「お燗」は日本酒特有の文化。
体に優しく、アルコールも回りやすい為に量も自然に減らすことができます。
そして何よりも冷やで飲む何倍も美味しくお酒が変化する。
温度によって味わいの印象がガラリと変わるのもおもしろいところですし、良い酒は冷めてしまった状態のいわゆる「燗冷まし」も非常に美味い!
ちなみに私なんかはわざと燗冷ましをして飲むことが多いです。
こんなに素晴らしい伝統文化なのにずっと嫌われていたのはなぜでしょうか?
実は私も若いときには日本酒嫌いで熱燗なんてもってのほかでした。
あのムッとするアルコール臭さが本当に嫌で嫌で、小さな頃から苦手だった上に学生時代に調子に乗って嫌いなクセに日本酒を大量に飲んでしまい散々な目にあったこともあり、大の日本酒嫌いでした。
しかし、この道に入り、私が無知であったことを思い知らされていたのです。
私が若い頃に飲んだり、印象の悪かった酒は醸造アルコールや酸味料、糖類などを多く添加したスーパーやディスカウントで安売りされているようなお酒で、戦後の米・酒不足で生まれたいわゆる「三倍醸造酒」の流れのもの。
戦後にはそういったお酒がほとんどで私が子供の頃もですし、今でもそういったお酒はかなりあります。
私の世代までの記憶では「燗酒」を飲む人は「チンチンに熱くしてくれ」とお酒を頼むという感じですが、これは「チンチンに熱い酒」が美味いわけではなく、酒自体が良くないので熱くして味をわからなくし飲んでいることがわかりました。
もう一つ問題なのは飲み屋さん。
飲み屋さんでは今も「お燗器」という機械(よく一升瓶が逆さに刺さっている機械)で、燗酒を提供しているところがありますが、あれはいけません。
ずうっとお酒は過熱されている状態の上に前日の残りなどが機械内に残っており最悪なのです。ついでに言えばレンジもダメ。
注文後に一本一本、お銚子で燗をつけてくれるのがやはり良いのです。
今では錫製で湯煎をすればすぐにお燗がつけられるものも販売されているのにそこまで気を使ってくれるお店は本当に少ないもの。
もう一つの問題はお燗をするお酒。
飲食店でメニューを見ると「燗酒」と書いてあることがよくあり、冷酒のメニューには銘柄がズラリと並んでいることがよくあります。
「燗酒」なるメニューがどんな酒かわからないので聞いてみると銘柄を教えてくれない。
そこで、銘柄の明らかにされている酒を燗してくれと頼むと「これは冷酒用なのでお燗はできません」との答え。
「はぁ???」
それらの銘柄は浦霞や一の蔵、久保田や八海山などの本醸造。
何でできないの?と思いますが、店の方は「これは冷酒用なので」の一点張り。
結局、店で用意している「燗酒」なるものを注文してみるとやはり飲めた物じゃない。
こういう酒の知識もなく利益ばかり重視している店が非常に多く、日本酒のイメージを下げているのは明かですね。
「燗酒」に抵抗を感じている方がいらしたら自宅で一度、純米酒を燗してみて下さい。
お銚子にお酒を入れてゆっくりと湯煎してあげてまずは40~45度ぐらいで試してみてください。
いつも冷やで飲んでいたお酒の知らなかった部分がたくさん出てきますよ。
一度試してみたら少しずつ温度を飲んでみて下さい。
辛さや甘さの感じ方が変わります。
ご家族や夫婦で試してみれば楽しさ倍増!
是非、今宵は燗酒をお楽しみ下さい。
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