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2007年7月27日 (金)

ワインと日本酒はどっちが安い?(前編)

お客様と話しているとたまにこんな事を聞かれます。

「ワインって安いよね~。それに比べて日本酒って高いよね。」

「日本酒って安いよね~。それに比べてワインって高いよね。」

「???」

皆様はどっちだと思いますか?

私は個人的な考えではお酒の中では「日本酒が最も安い」と思っています。
その理由には色々とあるのですが・・・

まず、ワインも日本酒もどうやって価格が決まるのでしょうか?

まずはワインから

ワインの場合、作り方から説明すると葡萄を収穫し、酵母を加え発酵させたものが、ワインで、その後、タンクや樽などで熟成させ瓶詰めして完成ですね。

原価は葡萄の価格が主となるでしょうか。

「葡萄だけなのに何で何十万もするような高いワインがあるの?」と思いませんか?

ワインには数百円のものから何十万、中には何百万、オークションでは何千万というものまであり、まさにピンきりですね。

葡萄を発酵させたこの飲み物のこの差はどこから来るのでしょうか?

まずは原料の葡萄。

ワインの場合はほぼ、原料の葡萄の出来映えでワインの品質も決まっていくと思って間違いはありません。

原料となる葡萄を最高の状態に持って行くには一年を通じて大変な苦労が必要となります。

葡萄を作るには当然の事ながら畑が必要となりますので、まずは土地が必要となりますが、ワインは畑の土壌成分や気候などの個性(テロワール)がストレートに出る飲み物ですので、畑の選び方は非常に重要になってきます。

この畑の善し悪しはもともとワイン造りに適したことが知られていれば高額になってきますし、そうでなければ安い。

また、現在、世界各地でワイン造りが行われていますが、例えばフランスの名醸地の土地と南米や東ヨーロッパなどの土地との価格を比較すると当然のことながらフランスの方が高いに決まっています。

まず、この土地代でワインの価格はだいぶ変わっていきます。

次に掛かってくるのは人件費。

葡萄は人が管理しなければ最高の状態には育ちません。

栽培から醸造、瓶詰めまで人手は必ず必要になってきます。

畑を管理するには人手が多い方が有利で、例えば収穫の時などは極端な話、葡萄の樹一本につき一人ずつ配置し、「いっせいのせっ」で、いっぺんに収穫してしまうのが最善の方法です。
これは果物全般に言えることですが、収穫してから少しでも新鮮なうちに果汁を搾りたいためで、良い葡萄だけを厳選する「選果」も大人数で一気にやった方が、葡萄の鮮度を保て、後々のワインの品質を高めます。

例えば世界レベルで最も高額なワインの一つとなる「ロマネコンティ」などは大きな畑ではないにも関わらず、畑の隅々に人を配置し、ヘリコプターを飛ばして、そこからの指示と共に前述のように近い状態で、一気に収穫を行うそうです。

ですから良いワインほど人件費が掛かっているのです。

そして、この人件費も先進国と発展途上国で、かなりの差がでるは言うまでもありません。

そして、これも重要な部分。

畑にできるだけ葡萄を植え、なるべく多くの葡萄をならせた方が得、と思いがちですが、良い葡萄を造るには収穫量を減らし、葡萄に凝縮感を与えなくてはなりません。
収穫量を減らせば当然のことながらワインのできる量も減り、凝縮されたワインは水分も少なくなってくるので、さらに量は減ってきます。

その生産量は大量生産と比べ、高品質なワインの場合、半分、三分の一、中には七分の一までも収穫量を減らしている物や一本の樹に一房というものさえあります。

簡単に半分と考えれば単純計算でそれだけで価格は倍になるのは当たり前ですよね。

そして醸造。

ここにも様々なコストが掛かってきます。

ここでは細かい技術や設備の話を書いても意味がないので、大ざっぱにいうと樽やタンク、空調、その他の設備代、及び維持費。

そして、最近の優秀なワインには必ずと言っていいほど著名な醸造コンサルタントなどがついており、彼等の給料もかなり高額なので、ここのコストも良いワイン造りにはかなり掛かります。

そして発酵や熟成に使用される「樽」。

この樽には産地や材質、メーカーによって様々なランクや大きさがあり、価格も異なってきますが、上級なワインに使用される225L(750ML300本分)の樽で現地でも大体、30万円以上はします。
一年や二年使用した樽は「古樽」といって年数が経つ毎に安くなってきますが、著名なワイナリーが使用したものなどは人気の上に高額です。
一樽当たり、最低でも千円以上は原価コストが掛かっていることになりますので、一万円以下のワインではかなりの比重を占める原料コストと言っていいですね。

余談ですが、ワインのバックラベルに「新樽100%使用」と書いてあるにも関わらず、千円~二千円代のワインを結構、見かけたりしますが、原価から見ていくと不思議だと思いませんか?
これには結構、裏がありますので、この話はまた今度。

そして、これが最も高額の元になっているワインの秘密。

それは「希少価値」。

○万円、○十万円といった高額ワインの価格を決定しているのは実はオークションが根底にあります。

ロマネコンティと並び世界で最も高いワインの一つに数えられるボルドーのシャトー・ル・パンは元は何千円だった無名のシャトーでしたが、ワイン評論家の高い評価と共にオークションでは高額な価格で落札されていき、生産量の少ない希少さから益々、高額なワインへとなっていきました。

こういったワインは「シンデレラワイン」と呼ばれますが、そのほとんどにプロバガンダ的なビジネスの背景があることは否めません。

世界で最も高額なワインの価格をつけるカリフォルニアのオークションでは何千万という価格で落札されるなど、私達では想像もつかない世界が繰り広げられています。

後は税金ですね。

現地でも、当然、酒税が掛かるのですが、日本に輸入されてくれば、日本での酒税が更に掛かります。

現地の酒税は国によってまちまちですが、フランスの場合は1L当たり5円程度らしいので、そのもの自体は大した金額ではないですが、小さな生産者などでは相続税の問題が大きく、それを見越した値付けがされているようです。

また、オーストラリアなどの場合には熟成をさせている最中の税金も高いために生産者は長期熟成型でもかなり早めの段階でリリースしてしまい、飲み頃のオーストラリアワインを見つけるのが困難な原因の一つとなっています。

日本でのワインに対する課税は酒税が1L当たり80円掛かるのだが、これに消費税が掛かる。

これって前々から不思議なのですが、計算上、税金に税金が掛かっていることになるんですよね。
何でだ?

わかりづらくなってしまったかも知れませんが、こんなことからワインの価格は生み出されてきます。

さて、お次は日本酒の価格についてですが、長くなってしまいましたので、ここまでで一回切り上げます。

続きは後半で
後編はこちら

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