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2007年7月29日 (日)

ワインと日本酒はどっちが安い?(結論編)

久々の長編は3回に渡り、『ワインと日本酒はどっちが安い?』をお伝えしてきました。
さぁ、結論はいかに?

ワインと日本酒はどっちが安い?(前編)はこちら
ワインと日本酒はどっちが安い?(後編)はこちら

前回2回はワインと日本酒を分けて原価コストがどのぐらい掛かっているものなのかを分析してきました。

皆様はどのようにお感じになったのでしょうか?

両者とも良い物を造れば造るほど原料コストと人件費コストが上がっていくのはおわかりいただけたかと思います。

しかし、日本酒の最も高い価格が四合瓶(720ml)で5,000円程度なのに対し、ワインはフルボトル(750ml)何十万、何百万というものが存在します。私達が何とか手の届く一般市場的には5万円ぐらいが最も高い価格になると思いますが、それにしても日本酒に比べるとたいぶ高いですよね。

それはなぜでしょうか?

これはワインの場合、コスト以外に『名声』といった目に見えない商品価値が存在するからで、ワインの事をお伝えした前編の中でも書いたとおり、ワインの場合はその希少価値が高ければ高いほど、オークションで価格が釣り上げられていき、それが、生産者達の価格設定の目安となっていきます。
※価格の上昇は産地毎の組織的で意識的な価格設定等によるものなどもありますが、複雑なのでここでは省きます。

「品質が高いもので、生産量が少なく、人気が高いので、希少価値が上がり、価格も上がる」というのは自由競争の原理において当然だとは思います。

ワインの場合は世界規模で取引が行われているためにこのような原理から一般人がとても手の届かないような価格設定がされてしまうのも納得です。

しかし、日本酒の場合は日本国内のみといえど、何故、このような原理が働かないのでしょうか?

日本酒の場合は基本的な生産者の考えは共通しており「品質に見合った価格設定」を心掛けており、彼等は希少価値による目に見えない価格を嫌います。

ネットオークションなどを見ると希少価値の高い日本酒や焼酎などがメーカー希望小売の何倍もの価格で取り引きされているのを見かけ、ディスカウントやスーパーでの店頭でも同じようなプレミアな価格設定をよく見ますが、生産者達は全くこれを望んでおらず、生産者達の中には自分の造ったものが何倍もの価格で販売されているものを自ら購入し、回収している生産者までいます。

一般消費者達の中には「欲しいものは高くても欲しいのだからいいじゃないか」という意見をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、生産者達の思いは一つで、例えば「希望小売2,000円の酒を2万円で購入して飲んでも美味しい訳がない。なぜなら、それは2,000円の味でしかないのだから」という思いがあります。

かつて起こった新潟地酒ブームの際に有名銘柄は何倍ものプレミア価格で取り引きされていましたが、ブーム後に耳にしたのは新潟酒に対する悪評ばかりでした。

それは「2,000円だからこそ旨い酒」が「2万円もするのに不味い酒」となってしまったことに他なりません。

生産者達は昔から何も変わらず造り続けてきたのに名声が一気に罵声に変わってしまったのです。

酷い話だとは思いませんか?

こういった事から日本酒の場合は適正価格という形で価格が守られています。

しかし、私の個人的な意見では日本酒の価格は本当にこれで良いのか?と少し疑問に思っており、よく蔵元の方々とそのお話をさせていただきます。

日本酒の価格設定の場合はできたお酒を純米酒だからいくらぐらい、吟醸酒だからいくらぐらい、という感じで価格設定していくのがほとんどで原価コストをよく計算せずにいわゆる「どんぶり勘定」で何となく価格設定をしてしまっているのをよく感じます。

「どんぶり勘定」ですので、よくよく計算してみると儲けてるというような造り酒屋はあまりありません。小さな蔵ほどキッチリとした計算をしていないように感じ、良い物を造っていても経営的に大丈夫なのかと心配になることが多々あります。

現実、生産数が限られた小さな蔵なのに利益を度外視した価格を追求してしまっている蔵は非常に厳しい状況に追い込まれていることは否めません。

原価は高いけど○○円ぐらいが相場だからしょうがないか。とか○○円の純米酒を造りたいから原価を抑えて造るかというのはどうも間違っているような気がします。

後者はまだいいものの前者は全く間違っているのではないでしょうか?

「美味しいものづくり」を追求していくのであれば自分の思うがままに造り、そしてその商品に見合った価格を設定すればよく、種類やランクによって価格を横並びにする必要はないと考えています。

ワインの場合は格付けが上がることに伴い、価格も上がっていくスタイルが世界的に多いですが、同じ格付けにおいても上から下まで様々な価格が存在し、当然の事ながら良い物は高く、悪いものは安くなっているのが常です。(※経営努力により価格を抑えている優良は生産者は当然いますが、広く一般的に見てです)

また、ワインの場合は原産地呼称により法律で栽培や醸造、ラベルやボトルに至るまで細かく規定がされていますが、美味しいものを追求する結果、そういった規制が妨げとなり、付加価値の要因となる原産地呼称の認定を捨て、最も下のランクであるテーブルワインクラスで出荷しながらも、世間の評価により、現在はとんでもない高額な価格となっているものは数多くあります。

私が思うに日本酒の世界でも紀勢概念を取り払い、枠にとらわれることなく自由な発想の酒造りがあっても良いのではないかと思います。
例えば○万円クラスの普通酒があったりね。(どんな内容かは想像がつきませんが)

伝統を守ることは非常に重要ですが、伝統を守りながらも新しい世界を切り開くのもまた重要なことだと考えます。

個人的な結論からいって、現在は日本酒の方がワインより安いと思っています。

本当は比べる物ではないですが、両者にはそれぞれに違った苦労や思いがあり、どちらも大変な「ものづくり」です。

よく言われるのは「ワインは自然」がつくり、「日本酒は人」がつくると言われます。

それはワインの場合は品質の高さの善し悪しは醸造よりも栽培が大きな比重を占め、日本酒の場合は醸造の方が大きな比重を占めることに由来されており、お互いの生産者達はよく「ワインは葡萄を発酵させるだけできるからね」とか「日本酒は栽培の苦労がないからね」とか言っているのを耳にします。

しかし、どちらがつくられるのは「自然」でも、「人」のお陰でもなく、「自然と人との調和」が造りだしていることを忘れてはいけません。

ですから、どちらが優れているとかいう問題ではなく、両者共に素晴らしい世界で、どちらが安いとか高いとかいうものではありません。

要はそれぞれにそれぞれの価値があり、それぞれの特性に合った楽しみ方をすることが大切なんですよね。

でも、懐具合を見てみると毎日飲んでしまう私としては日本酒の方が懐に優しいかな?

そこそこのワインを飲もうとすると大抵の場合は2,000円以上してしまうので、千円代前半の日本酒の方が経済的に感じてしまいます。

あぁ~、値段を気にせずワインをチョイスできる日はいつか来るのでしょうか?
来ないよね・・・

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