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酒業界と政治

参院選を来週に控え、先日、酒類販売管理者講習を受講してきたので、タイミング的に「酒屋」が思うことを書いてみたいと思います。

酒類販売管理者というのは酒類を販売する業者が、従業員のうち一人を責任者として選任し、届け出をしなければいけないもので、要は酒類販売に関する責任者という者。

今回、受講した酒類販売管理者講習は3年に一度、受講しなければなりません。

こうやって書いてみると最もらしく非常に必要である制度ですね。

この制度は酒類販売免許の規制緩和に伴い施行されたものですが、要は規制緩和により酒類販売免許さえ取得すれば、コンビニ、スーパー、花屋でも薬屋でもどこでも酒類が販売できるようになったわけで、いわば全くお酒の知識がない人間達が「お酒を販売するようになった」ために各販売店に責任者を選任させ、彼等にお酒の知識を教育しようというものです。

ここまで書いてもこれは必要な制度ですね。
でも、その講習会の中身は・・・

そもそも「全くお酒の知識がない人間達がお酒を販売する」ことの最大の問題点は「未成年者への酒類の販売」です。

コンビニなどではアルバイトにも未成年者が多く、未成年者の販売者が未成年者の消費者に販売することはよくあります。

この講習の本題はこういった「未成年者への販売」についてのお話しが中心。

未成年者が酒を飲むと成長を妨げるとか飲酒運転は危険とかドメスティックバイオレンスの原因になるとか、そんなこと今さら言われなくても誰でもわかってるってことについての話が延々と続き、酒類に対する知識の勉強などは皆無に近いです。
せいぜい酒類の分類(ビール・清酒・焼酎などの分類)ぐらいについての説明でしょうか。
でも、これだって酒を扱う上で、「免許を取る前に」持っているべき知識ではないでしょうか?

こんな感じで講習の内容は何ともお粗末・・・酒類業界に関係のない一般の方々が当たり前に持っているような「常識」を繰り返すだけです。

酒類を販売する人間にとって最も根本的なもので、何十年も酒類販売を専業にしてきた「酒屋」にとってこの講習って必要なんでしょうか?

新たに酒類販売を始めた人間に関してはこういった基礎的なことを最初に教えるのは必要なことですが、講習会に来ている人達はほとんどが昔からの酒屋で「おじさん」~「じいさん」ばかり・・・自分のような若い人間は極少数です。

この講習会は講習料も徴収され、時間も3時間程度掛かります。
すごく無駄のように感じるのは私だけでしょうか?

そもそも、こういった制度が始まったのは先に書いたように規制緩和によるために専門知識を持たない人間達が酒類を販売するようになったからなったわけで、古くから酒屋を専業にしている人間には必要はないのではないでしょうか?

このままの内容であれば、新たに酒類を販売し始めた業者だけが受講するべきで、その他は任意で構わないと思います。

こういった制度を続けるのであれば、もっと「役に立つ」酒の知識を講演するべきですし、「酒の専門家」をしっかりと育てるべきだと思います。

そのために私が理想的だと思っているのは国が酒類免許販売者に対し、試験を実施すること。

例えば、「酒類販売店」を3つか4つのランクに分けて、それぞれの能力に対し、「政府認定優良酒販店4ツ星」などと看板を与えたりすれば、皆、がんばって勉強するのではないでしょうか?

別に専門的な商品は売れずにNB(ナショナルブランド)商品のみ売れていれば良いという考えのお店は、特別なお酒の専門知識は必要ないので、看板に★があろうと無かろうと関係ありませんから集中的に勉強する必要もありません。

こういったランク付けが消費者から分かり易くあると既存の酒屋としても新規の店舗との住み分けができ非常に良いと思います。

酒類販売管理者の説明ばかりになってしまいましたが、今回の話の本題はもっと根本的な所。

先に書いたように酒類免許の規制緩和から日本全国どこでもお酒は簡単に購入できるようになりました。

個人的にはそのこと自体はそれほど悪いことだとも思っていません。

国が酒類の売り上げを上げて税収を上げたいのもよくわかります。
何せ酒類の税収は全体の3%をしめているそうですからね。
販売店が増えたからって全体の売り上げが上がるとは思えませんが・・・

容易にお酒が手に入るようになり前述のような理由で、未成年者が安易に購入できるようになり、飲酒運転の問題も大きくなっていきました。

そういったことから一番最初に標的となったのが自動販売機。

酒類の自動販売機は以前はどこでも見かけましたが今ではほとんど見かけることはありません。

規制緩和前の私が就職した頃から酒類の自動販売機には販売時間が設けられたために実店舗が閉店中の売り上げを支えてきた販売機の売り上げはゼロになってしまいました。その後、国の指導により自動販売機はすべて撤去。

その代わりに夜中でも元気に営業中のコンビニでの販売がどんどんと拡大していきました。

「買いやすい」自動販売機の撤去は世間的には非常に良いことだったと思います。
しかし、「買いやすい」コンビニの販売がどんどんと増えていったのには首を傾げざるを得ません。

結果を見ていくと利便性の追求により酒を安易に購入できる世界にしていきながら、その反面、しっかりと管理し、専業としていた酒屋への締めつけはどんどんと厳しいものになっていきました。

「酒類免許」とある以上、本来は試験も必要であると思うのですが、昔と違い、この酒類免許というものは容易に取得できてしまいます。

つまりは酒の知識など皆無で大丈夫な免許です。

こういった酒に対して「金儲けの商品」としか見ていない販売店を急速に増やし、その結果、様々な悲惨な事故や事件を起こしてしまっている国の政策には疑問が残ります。

そして業界と政治の関係も疑問。

酒類業界には応援する政治団体があり、そちらの議員さん達はいかにも非力な小さな酒屋の味方のように熱弁を奮ってくれるのですが、その団体自体が規制緩和を推進している中核であったりして、何なんだろうといった感じ。

結局はいくらお酒に情熱を持ってしても国から見れば「税金回収部隊」の一部としてしか見られない酒屋はちょっと寂しい商売かもと思ったりもします。

でも、私は「良い酒を楽しむ喜びをもっともっと皆さんに知っていただきたい」と考えていますので、こんな世の中でもがんばって酒屋を続けていきます。

だって、酒屋が好きだから。

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