九州訪問記~その弐~有明海苔の真実
今日はグッと気温も下がり寒いですね。これが例年通りなのでしょうが、こうも毎日、気温が違うと体調も崩しがちです。皆さんもお気を付けて下さい。
こういった温度が安定しない時期には当店のパン作りも大変な物で、発酵のコントロールが難しくなります。
当店も一応はコンピューター制御された発酵器を設備しているのですが、結局は機械ですので、細かいコントロールは職人の勘のみが頼りとなります。
酒造りと同じく、こういった職人技がパン作りに必要なはずなのですが、現在の町中に溢れるパン屋さんのほとんどは生地作りどころか成形すらしないで大量生産された生地をただ焼いて店頭に並べているところが多く、非常に嘆かわしく思えます。
こだわりのパン屋さんも増えてきましたので、彼等と共に人間の歴史と共に歩んできた伝統のパン作りを守っていきたいと思います。
さて、今日は九州訪問記の第二回目。
今回のメインである佐賀県に上陸です。
佐賀県は今回が初めての訪問となったのですが、飛行機で有明海の上を飛びと海のほとんどが「海苔畑」で埋め尽くされているのがわかります。
さすが本場だなと感心していると空港らしき敷地が見えてくるのですが、「民間飛行場?」と思うほど小さな空港で、だだっ広い田んぼの中に囲まれているために以前にチュニジアを訪れた際、サハラ砂漠の入口に降り立ったような、アジアでかなり田舎に降り立ったようなそんな印象の風景でした。
飛行機を降りるといつもお世話になっている片倉さんがお出迎えしてくれ、空港の外に出ると「おぉ~!本当にはなわの世界だぁ~」という感じで一面どこまでも続く田園風景でした。
昨日、お伝えした繁桝さんを後にし、八女のラーメン屋さん(これは発見!豚骨にドンコの出汁をガンガンに利かせた絶品スープ!)に立ち寄り、いざ佐賀へと向かいました。
まずは色々と佐賀の物産品を御紹介していただいている松尾さんと待ち合わせ、有明海苔の生産者である西村さんの所へ。
天気も良く最高でした。
この場所は「ほたるの里」で、夏になると見回す限り、一面に蛍が飛び回るそうです。再訪はもちろん決定ですね!
この西村さんがまた絵に描いたようにいいおばちゃんで、つくっている有明海苔も絶品!あるコンテストで最優秀に輝き、つい最近もテレビ出演しています。
西村のおばちゃんが作っているのは自分が作った海苔を原料に板海苔はもちろん、海苔の佃煮や何とビックリ「海苔ジャム」をつくっています。
佃煮は海苔の味を100%生かした薄味で市販のものとは全然違い、いくらでも食べられちゃう優しい味わい。
海苔ジャムも私も想像する前は「ごはんですよ!?」って感じなのかなと思っていましたが、食べてビックリこれが美味しいのです!
海苔が入っているのはわからないのですが、フルーツが一杯でフルーツのあら濾し的な感じ。
もともとは高血圧や糖尿病に悩む方のためにつくりだされた物で、低カロリーで糖分も通常のジャムの3分の2に抑えられています。
これらの商品は近いうちにお客様にご案内できると思います。
この西村さんのお宅で最も衝撃だったのが、海苔生産のご苦労と大変さ。
海苔づくりはご存じの通り、天候によりかなり左右されるもので、今年も暖冬により海苔の生育にかなりの影響を及ぼしましたが、各生産者の努力により例年並みの出来映えまで戻りました。
驚いたのは海から採ってきた後の生産ラインで西村さんのところも一般の家庭なのですが、家の中は生産ラインの機械でビッシリ。
海苔は混入物の規制が非常に厳しく、製造工程で何度も濾過を繰り返すのですが、この機械がとてつもなく高く、乾燥機と合わせてウン千万という金額。
しかも、船は必需品ですから燃料の油代もばかにならず、非常に高いコストが掛かっています。
※西村さんの船と有明海独特の土壌。この栄養分をふんだんに含んだ土壌が有明の海の幸の美味しさの秘密です。
近年、問題になっている有明海を思うと人間のエゴは何て残酷なのだろうかと考えさせられます。
流通においても組合で厳しく品質階級の審査を行い、海苔の価格が決定され全国に発売されていくのですが、驚いたことに自身が丹誠込めてつくった海苔を直接消費者等に販売することは許されておらず、そういう形にしたい場合は組合から買い戻して販売するそうです。
この辺は農協と同じような感じですが、実際に設備に掛かっているコストを考えると海苔の生産者は何て厳しい業界であるかと感じられずにはいられません。
高級海苔が何故高くなってしまうのかも納得ですし、本当の美味しさを知らない消費者にとって低価格な輸入海苔に手がいってしまうのもうなずけます。
私は「海苔」というものは最上といわれる物も食べてきたつもりでしたが、今回西村さんの所で食べさせていただいた海苔は別格でした。
海苔なんて高くてもそう変わらないだろうと思っていたのですが、大きな間違いでした。
西村さんの海苔は口に入れると磯の香りが一気に広がり、甘味とも言える旨味が何とも言えず、塩も醤油もいらずにいくらでも食べられてしまいます。
特に海苔にご飯を巻きほんのわずかだけあの富樫君の塩をご飯にかけてあげるともう止まりません。日本人で良かったと思う最高の瞬間です。
こんな美味しい海苔を皆様に紹介しないわけにはいきません。
是非、近いうちに取り扱いたいと思います。
衝撃の連続だった西村さん宅を後にし、芦刈町の商工会議所へ。
この西村さんもそうなのですが、芦刈町には女性の生産者グループがいくつか存在し、町の産物を加工し、様々な美味しいものをつくっているのです。
この商工会議所でお会いしたのが「豆乳麺」なるものをつくる藤田さん。
私も全く知らなかったのですが、佐賀県というところは小麦と大豆が豊富なところで、代々、地元産小麦や大豆を主食としてきました。
今や「本物」の国産小麦や大豆を探すのは非常に難しいのですが、この町では当たり前のことで、日本の現実をお話しすると「本当ですか?こんなのどこにでもある物だと思ってた」ですって。羨ましい環境です。
藤田さんは昔から代々つくってきた地元産小麦のうどんを作る際に毎日飲んでいる自家製の豆乳を混ぜてみたところ驚くほど美味しくできたので、それが評判となってきて販売も始めることになりました。
出来上がったうどんは表面がプルプルツルツルで喉越しが非常に良く、この食感は独特です。
麺自体には小麦本来の風味と豆乳の甘味があり、何もつけなくても美味しいほど。
私も色々と調理してみましたが、冷やしても温めても煮くずれせず、たらこパスタにしてみても美味しいです。
これも近いうちに取り扱いたいと考えています。
商工会議所の方々や生産者の方々と様々なお話しをし、ホテルに入ったのがもう8時過ぎ。くたくたになりながらも佐賀県酒造組合の日本酒バーがあるというのでタクシーを呼んでレッツゴー!
日本酒バーn@m.(のんどっと)
佐賀市唐人1-2-22 tel 0952-22-3087
佐賀中の日本酒とリキュール、佐賀県特有の肴が楽しめ非常に良いお店なのですが、期間限定だそうで、残念ながら5月一杯までということです。
10種類ほど楽しみましたが、今の佐賀県はレベルが高い!
佐賀県の特徴なのですが、日本酒は甘口が基本。
その秘密は醤油に隠されていて、ここの醤油は東京の人はおろか九州の人でさえも「甘い!」のです。
それ故に料理も全般的に甘いのです。
しかし、甘口の佐賀料理と日本酒を合わせると納得、美味しいです。
佐賀には変わった珍味も多いので、酒の肴にオススメしたいものもたくさんあります。
さて、いよいよ次回は最重要目的地、天才・飯盛直喜氏の造る酒「鍋島」に会いに行って来た様子をレポートします。
お楽しみに!
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