永福町限定本格米焼酎「はなたま(華玉)」
本日は昨日の文中で少し御紹介させていただきました本格米焼酎「はなたま」を御紹介させていただきます。
この焼酎は永福町近辺だけで販売している焼酎で私がブレンドやネーミング、ラベル作成等を務めたました。
発売するきっかけとなったのはもう5年以上前に私の父も含め近隣の酒屋仲間の親父達が還暦を迎え、「何か記念になる物を作りたい」ということから始まりました。
話が出た当初は私は全くノータッチで、まぁオヤジ達が好き勝手にやればいいやと思っていたのですが、そのうち話がまとまらないらしく父から相談を受けることになりました。
父が言うには「適当な焼酎にオリジナルでラベル作って貼りたいんだけどどう思う?」ということでした。
私は「オリジナルラベルなんて酒屋だったらいつでもできるし、何の記念にもならないんじゃない?どうせなら最初からつくっちゃえば?」と答えました。
しかし、技術的な知識を持っていなかった父達はそう簡単に作れる訳もなく、結局は当時珍しかった(といっても現在でも杉並区では私だけのようですが)焼酎アドバイザーという資格を持っていたので、私も親父達の会合に引っ張り出されることになりました。
会合に行って皆の話を聞いてみると「面倒だからラベルを貼り変えるだけでいいじゃない」との声が・・・
私はそんなことはどこでもやっているしおもしろくも何ともない。せっかくこういう話が出たんだから一からつくりましょうよ!」と皆を説得しました。
私も最初は「しょうがないからつき合ってやるか」という気持ちだったのですが、色々と考えるうちに永福町の酒屋仲間達の活性化に繋がらないか?と思い始め、徐々に考えが変わっていきました。
当時の永福町も例外に漏れず、規制緩和の煽りを受け、ディスカウントやスーパー、コンビニの影響をモロに受け、酒屋業界は縮小を辿っている真っ直中でした。
そこで大型店舗や酒の素人には負けない「酒屋のこだわり」をつくり上げたいとオリジナル焼酎造りに着手することになりました。
「造り」をお願いしたのは熊本県の名醸蔵「瑞鷹(ずいよう)」。
この蔵は熊本では欠かせない「赤酒」や日本酒、焼酎を造っている熊本県民であれば誰もが知っている蔵元なのですが、実は東京営業所が永福町の商店街内にあり、古くから永福町民にも馴染みのある蔵元なのです。
特に「赤酒」と焼酎銘柄の「太鼓判」「一本槍」はこの辺では親しまれてきました。
中でも「太鼓判」は今では少なくなってしまった深くまろやかな味わいで、「本物の熊本米焼酎」として高い評価を受け、世界一ソムリエの田崎真也氏も著書「焼酎を愉しむ」をはじめ、各方面で紹介しています。
私は当初、蔵に行き仕込みに参加することから始めようと思っていたのですが、私のスケジュールも厳しく、リリースまでにあまり時間を割くこともできなかったために仕込みに参加するのはあきらめこちらの意見を蔵に伝え、何種類もの原酒を用意していただきブレンドして完成させる方法を決めました。
原酒がこちらに届くまでにかなりの時間があったために先に味の方向性を決めておこうと親父連中と何度も話し合ったのですが、私と親父達の意見が全く正反対で決定にはほど遠くかなり苦労を強いられました。
私は「せっかく『太鼓判』という良い米焼酎を造っている蔵なのだから『常圧蒸留の伝統的な熊本米焼酎の味わい』を個性として打ち出すべきだ」と提案したのですが、父を除いた親父達は「いや、すっきりクセなく飲みやすい減圧蒸留の麦焼酎がいい」とのこと。父だけは「個性があった方が良いけど売りづらくなってしまっても難しいのでは」という意見でした。
ここで少し「常圧蒸留」と「減圧蒸留」について簡単に説明しておきますが、前者は昔からの蒸留方法でモロミを100℃で蒸留し、原料本来の香味を強く出したものでフゼール油という旨味成分の部分も多く、伝統的な製造方法で、後者は蒸留器内から減圧ポンプで空気を強制吸出させることにより、50~60℃で蒸留させる方法で、できあがった焼酎はフーゼル油等の旨味成分も少なく、香りが抑えられたソフトでクセのない軽い焼酎が出来上がる方法で、誰もが知っている大分の大手むぎ焼酎などはこの方法により全国で広まるようになりました。
当時は焼酎ブームが始まり始めた頃で、大手ビールメーカーも焼酎業界に乗り込んできた時期があったのですが、親父連中の一人が、そんなビールメーカーの焼酎を持ってきて「これが売れてるからこんなのつくってよ」と言われました。
それは大分の大手メーカーのものを手本としたであろう減圧蒸留のむぎ焼酎で、何の味も個性もない軽い味わいのものでした。
私は即、「こういったタイプは造る気はないです。オリジナルをつくるとなればラベル作成や瓶のコストも掛かるし、人件費も掛かり、高い物となってしまうために中身が同じような物だったら大手メーカーのものを飲んだ方が良いじゃないですか?」
しかし、イマイチ皆納得がいかないようで、結局、結論はまとまらず、決定されたのは『熊本産』なので『米』を原料にしようということだけでした。
そうこうしているうちに原酒サンプルが届いたのですが、親父達がいるとまとまらないので年齢も近い蔵元の息子の健太郎君と支店長と三人で第一回目のブレンドを始めることにしました。
まずは私が主張している常圧蒸留のブレンドから始めたのですが、様々な原酒をブレンドしてみてもどうしても「太鼓判」のスタイルとなってしまい既存商品と似ている物をつくってもしょうがないので納得がいくものができませんでした。
そして減圧蒸留のブレンドも色々と試したのですが、予想通り、軽く飲みやすいが面白みがないという理由でどれも納得がいかないものでした。
その後も何度か考えられる限りのブレンドを行ったのですが、結局は納得のいく物にはならず、行き詰まってしまいました。
私が思うに「ブレンド(調合)」という作業は焼酎・ワイン・日本酒に関わらず最も重要な作業と捉えており、すべてはブレンダー(調合師)の舌と感性に掛かっていると思っております。
その証拠にワインの世界では評論家ロバートパーカーJrとともに世界のワインのトレンドを先導しているミッシェル・ロランも本来の専門はブレンダーで、彼が関わった数多くの生産者が多大なる成功を収めているのは彼のブレンド技術に他なりません。
彼のブレンド技術の高さは一緒に「シャトー・ヴァランドロー」というモンスターワインを生み出していた那須ワインの渡辺さんも『世界一のブレンド技術』と太鼓判を押していました。
それだけ重要な作業ですからもちろん中途半端にはできません。
しかし答えは見つからず・・・
何日も打開策がないか考え込んでいたのですが、ある時、「焼酎以外にブレンドして完成されるものって何だろう?」と考えたとき頭に浮かんだのが「ウイスキー」でした。
スコットランドのいわゆるスコッチウイスキーは「シングルモルト」と呼ばれる「単一蒸留所」による物以外は通常、様々な蒸留所で、様々な造りをされた、年代の異なる様々な原酒をブレンドし完成される「ブレンデッドウイスキー」であり、「ブレンド」が最も重要な飲み物であるのです。
ここで頭に思い浮かんだのが「全然違う造りのものをブレンドする」ということでした。
それまでのブレンド作業は常圧蒸留のみ、または減圧蒸留のみでブレンド作業を行っていましたが、常圧蒸留と減圧蒸留をブレンドしても良いのではないか?と考えたのです。
現在ではこの方法を取り入れている蔵は多くありますが、当時はまだ珍しく私も九州で一箇所がやっているのを知っているぐらいでしたので、近くにあった思わぬ盲点と早速試してみることに。
早速、試してみると「おぉ~!これは今までにないバランスじゃない!」と思いがけぬ良い方向が導き出されました。
すっきりとした酒質の中に予想していなかった華やかさとコクやまろやかさが生まれてきたのです。
その後、何度もブレンドを繰り返しやっとお客様にも自信を持ってオススメできる原酒が出来上がったのです。
となると次はネーミング。
しかし私の頭の中では一口この焼酎を飲んだときにイメージが浮かんでいました。
「華やかな香り」と「まろやかな味わい」を酒銘で表現したいと思い、そのままのイメージで「華玉」と名付けましたが、皆に見せてみると「かぎょく」「はなぎょく」など違う読まれ方をされたので「はなたま」とひらがなに決定しました。
次はラベルづくり。
「はなたま」の名に生命を吹き込む役は惜しくも閉店されてしまいましたが、西永福の高山商店さんに一筆願い、優しさと味のある文字が生まれました。
この自体を元に私が背景を考え、合成していったのですがこれがまたまた納得がいかず何度も作り直したのですが、最終的なこれが良いかなと思っていた背景をプリントアウトするときにプリンターの調子が悪くなり、かすれてプリントされてしまいました。
しかし見ているとそのかすれ具合が幻想的で味があるではありませんか!
私は一目惚れし、すぐにその「失敗作」を採用することにしました。つまりは創り出そうと思っても造り出せない偶然の産物だったのです。
そして瓶も蔵元が少し変わった瓶があるとのことで見本を送っていただきこれも一目惚れ。
最後は父の出番で、私はイメージの「華玉」という漢字も入れたかったので、父の得意な「いも版」を彫ってもらいラベルに押すことに。
これで永福町限定本格米焼酎「はなたま」が出来上がったのです!
発売以来、大好評いただき晩酌用やちょっとした手みやげに喜ばれております。
ロック、ストレート、水割り、お湯割り、ウーロン割り、サワー等々、飲み方を選びませんので、その時の気分により様々な楽しみ方ができます。
発売当初は12軒でスタートしたこの焼酎ですが、時代の流れと共に5軒もの酒屋さんが閉めてしまい、現在では7軒のみの販売となりました。
これは悲しい限りですが、最近どうもこの「はなたま」が一人歩きしているようで、先日は妻の母より「ラジオで田崎真也さんがおすすめの焼酎だって紹介していたよ!」とか常連のお客様より「『はなたま』テレビ出てたね!えっ、知らないの?有名な焼酎バーがオススメ焼酎で紹介していたよ」などと耳にします。蔵元も私の耳にも全く入っていなかった話なのでビックリしましたが、皆様に気に入っていただき紹介いただけることはとっても嬉しいことです。ありがとうございます。
まだお試しになったことがない方は当店ホームページか下記の料飲店でお試し下さい。
(飲める店)
下高井戸・赤堤のおでん屋さん おでんと鮮魚料理 たら福 様 紹介記事
(生産者ホームページ)
当店以外の販売店は下記にお問い合わせ下さい
瑞鷹赤酒の店 東京店 電話 03-3322-4236
本日は新潟県東蒲原郡の蔵元「麒麟山酒造」さんが来店し、麒麟山の大吟醸を使用し、地元で評判のパティシエが腕を振るった限定生ショコラを御紹介いただきました。近日中には皆様に御紹介できると思いますのでお楽しみに!
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