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賞味期限と消費期限のお話し

今日はよくお客様や生産者とのお話の中で話題に上る「賞味期限」と「消費期限」のお話しをしたいと思います。

不二家を始め近年、あまりにも酷い「食」についての問題がたくさん表面化してきており、何とも情けないやら何を信じたらよいやらと不景気の煽りもあり、利益重視の企業が増え(増えたのか元からなのかはわからないが)、訳のわからない世の中になっているように感じます。

これらの「食」の問題に必ずついてまわるのが「賞味期限」と「消費期限」。

ところがこの2つの期限について一般の方々と色々とお話していると意外にどんなことなのか知らないという方がかなり大勢いらっしゃいます。

まず、分かり易くご説明したいのがこの2つの違いについてなのですが、「賞味期限」とは生産者が「出荷した状態からこの日時までは味が変化しませんよ」と保証する期限であり、「消費期限」とは「この日時までには食べてくださいね」ということです。

かなりの方々がこの2つを混同されており、「賞味期限」が過ぎたから捨ててしまうという話をよく聞きますが、「賞味期限」とは過ぎたから食べることができないというものではないのです。

食品にまつわる仕事を長くやっている中でお客様から聞かれてビックリしたのが、「梅干し」や「塩」「醤油」「味噌」などの賞味期限を聞かれたことでした。もちろんお客様は「賞味期限」の意味はわからず「いつまで食べれるか?」という意味でした。

何でビックリしたかというと「梅干し」などは保存食であり、実際、京都などでは100年物など長期熟成させたものが、目が飛び出るほどの価格で「高級品」として販売されていますし、醤油や味噌も同じように長期熟成されたものが、希少な高級品として販売されています。塩についてはそもそも岩塩のように何千年、何万年と大地に眠っていてから商品化されるようなものですから賞味期限などは皆無だと思います。但し、水分の多い塩については乾燥による味わいの変化は少なからず起きると思うので「味の変化」という意味では「賞味期限」がついてもおかしくはないと思います。※最近は「梅干し」にも賞味期限がついていることがありますが、これは近年のヘルシー志向によりかなり塩分を減らしている商品が出てきており、保存性が低くなったためと聞いています。しかしながらそういった商品は「減塩」という謳い文句の裏側に「保存料」や「酸味料」といったものが存在することが多いかと思います。

私が、「賞味期限」についてよくお話しすることがあるのですが、それはある「ソース」の賞味期限についてで、ある日、当店に入荷してきたばかりのソースを見てみると賞味期限まで極わずかの期限しかありません。

そこでメーカーにクレームの電話を入れたのですが、電話の向こうからの答えは「あぁ、でも賞味期限が切れてから3年後ぐらいが一番美味しくなりますから」ですって・・・

私はこう答えました「そんなことはもちろんわかっています。でも、賞味期限が過ぎてから美味しくなるのに何故それを消費者に伝えないのですか?」

電話の向こうから帰ってきたのは予想通りの答え

「だって回転悪くなるじゃないですか」

ここに「賞味期限」の問題点があると思います。

「賞味期限」はソースのように熟成していく毎に旨味が増してまろやかになっていくような商品の場合、あくまで「出荷時」の味わいがどこまで保たれるかという期間が「賞味期限」であるためにこのような事になってしまうのですが、私が思うに賞味期限が過ぎてから何ヶ月はこういう味わい。またその後の何ヶ月かはこんな味わいと説明を付けてあげれば良いと思いますし、現に良心的なチーズなどの生産者はそういったアドバイスをパッケージに付け加えています。

そう難しいことではないのですが、そこでもう一つの問題である「回転率」ということが出てくるのです。

その前にチーズの話が出たので、おもしろい話を紹介します。

麻布にある有名な高級スーパーの話なのですが、このお店は立地上、外国人のお客様が多いのですが、チーズの売場が2つあるそうです。

一つは日本人用、もう一つは外国人用で、前者は賞味期限が長くまだ新しい物を並べ、後者は賞味期限切れの物を中心に陳列するそうです。

何故かというとヨーロッパでつくられる本来のチーズは熟成してその美味しさを発揮するものですが、「賞味期限」という概念上、熟成により味わいが変化し始める時期を「賞味期限」とするしかありません。そのためにほとんどのチーズは食べ頃を迎える前に「賞味期限」が切れてしまうわけで、これを知らない日本人は「賞味期限が切れたから」と捨ててしまいます。しかし、「チーズの美味しさ」を知っている外国人達はもちろんそんなことはせずに「食べ頃」を迎えた「賞味期限切れ」を購入するか、若いチーズを購入し、食べ頃になるまで冷蔵庫で保管をして楽しんでいます。

これって何ともおかしな話だと思いませんか?

そもそも「賞味期限」とはどのように誰が決めるかということですが、それは生産者が各々の基準で決定します。

私は常に各生産者に「どのように賞味期限を決めたのですか?」と質問すると驚くほど多くの生産者がこう答えます。「みんながこのぐらいだから」

多くの生産者達はまだ、何週間も美味しく食べれるにもかかわらず「まわりがそうだから」という理由だけで「賞味期限」を決定しています。

その「まわり」という根っこはどこなのでしょうか?

その答えは「大手メーカー」。

ある大手食品メーカーの社長さんに聞いた話ですが、大手では科学的分析を様々な側面から行い「そのぐらいが限界か」「様々な環境下に保存し、どのような変化が起こるか」等々、当たり前ですが、細かいデーターを根拠に「賞味期限」を決定するのですが、ところが分析データでは2年も3年も味が変わらず食べることができる食品であっても3ヶ月程度の賞味期限の設定で発売されることが多くあります。

この裏には企業戦略があるのですが、大手メーカー社長によると食品にはその時どきの流行という物があり、その流行はドラマなどのテレビ番組と同じで1クール、3ヶ月だと考え、流行は1クールか2クールで新たなものに変えなければならない。

そこでメーカーは商品の回転を良くするために何年も品質を保持できる商品であっても賞味期限を数ヶ月の設定にしてしまうのであるという。

つまりは賞味期限を延ばしてしまえば店頭でいつまでも商品が並んでしまうため賞味期限を短くし、売れ残った場合でも早く小売店に処分させようということなのです。

その結果、まだまだ食べることができるのに廃棄処分となるものが後を絶ちません。

こういった理屈で大手が賞味期限を決定しているのに対し、中小の生産者は「大きなところが大体○ヶ月だから、うちも○ヶ月にしよう」などと決定しているのはあまりにも無責任だと思います。

私は日頃から賞味期限について別の角度から考えており、「賞味期限」という取り決めにより消費者の「目」が低下してしまっているように感じます。

私達が子供の頃は「賞味期限」などというものは皆無で、皆それぞれが「食べられるか、食べられないか?」を見極めていたはずなのが、あまりにも「賞味期限」に頼りすぎて「食べられるか、食べられないか?」という生きていくのに最も基本的で動物的な部分を見極められる人が少なくなってしまったのではないでしょうか?

玉子などはいい例だと思います。

以前は厚生労働省のホームページ内にガイドラインがあったのですが、見つからなかったので別のホームページをご参照下さい。

以前の厚生労働省のページにもあったのですが、「生食用」として見てもかなり品質は保つことができるものの各メーカーの賞味期限が最大2週間程度と短いために賞味期限が過ぎた玉子は数え切れないほどの数が廃棄処分となっています。

まだまだ食べることのできる食品をドンドンと廃棄してしまう現在の社会にはこの「食べられるか見極める力」と「保存の知恵」が欠落してしまっていることが最も問題であり、「賞味期限」が元凶であると考えざるおえません。

見せかけだけと思わずにはいられない食品に対する国の曖昧な政策と企業の戦略が渦巻く中、私達小売業と一般消費者自身が「食」を知り、守っていかなければならないと考えます。

教育問題も叫ばれる中、今注目されている「食育」も大人達が学び、正しい「食」のあり方を子供達には幼い頃から教えていくべきだと思います。

農作物が豊作だった年についても同じですが、まだまだ世界で飢餓に苦しむ子供達が多い中、多くの食品が廃棄処分になるのは何とも耐え難いことだと思います。

次回は今回の話に続き「お酒の賞味期限」についてお話ししたいと思います。

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