フジッコワイナリーさんご来店
今日は朝から山梨県勝沼の実力派ワイナリーであるフジッコワイナリーさんがご来店いただきました。
ワイナリー訪問時にフジッコワイナリー堀社長と
今日は店頭でお客様とお話しすることも多い勝沼をはじめとした日本のワインについて書きたいと思います。
店頭でお客様のワイン選びをお手伝いしていると次のような質問をよく受けます。
「お刺身に合うワインはなんですか?」
「和食に合うワインはなんですか?」
私はこう答えます。
「日本のワインがよろしいのではないでしょうか」
「お刺身やお寿司には甲州ワインがおすすめです」
こう答えるとお客様は皆不可思議な顔をなさり大抵は「日本のワインなんて飲みたくない」「日本のワインて甘いんでしょ」「日本のワインて品質低い上に高くない?」「日本のワインなんて・・・」
こんな風に日本のワインに対して肯定的なご意見を伺うことはほとんどなく皆さん日本のワインに対してあまりよいイメージをお持ちでないようです。
何でこのようなイメージになってしまったのでしょうか?
こういったイメージは決して間違えたことではなく、かつて私も同じように日本のワインによいイメージを持っていなかったのですが、ここ数年の技術の飛躍や農業等に関する行政の改革によって生み出されるワインの品質は比べ物にならないほど上がっているのです。
そういった事実をまだまだ一般のお客様はもちろんワインを扱う酒販店やソムリエ達もそのことを知らないのが現実です。
日本においてはヨーロッパのようなワイン法はなく酒税法上で取り決めがなされているわけですが、酒税法上では輸入されたバルクワインを日本国内で瓶詰めしたり、南米産等の濃縮還元ジュースに糖類を添加し発酵させた物も国産ワインと表示できるために現在も多くの生産者(工場!?)ではこういった物が大量生産されています。
もともとは日本においてワイン用の葡萄造りが難しかったことと生産量を補うために行われてきたことだと思うのですが、こういった製法は非常に安価にできるために「利益商材」として生産され、その結果、「お客様を欺く」という結果を招いてしまいました。
先程、ワイン用の葡萄造りについて少し触れましたが、このことも非常に重要な要素で、良い葡萄を作ることができなかったのは技術もさることながらわずか10数年前まで生産者が葡萄を栽培してはならないなど法律上で厳しく取り決めされていたことに原因があります。
フジッコワイナリーの堀社長の話では「かつては農園を選ぶこともできず、農協が様々な農園の葡萄をごちゃ混ぜにし、選別もしないためワイナリーに納入されても葡萄が酷い状態で使えない物ばかりだったし、美味しいワインを造りたいと思っていても良い原料が手に入らなければ当然ながら良いワインは生まれない。つい最近までそんな時代だったんだよ」とお話ししてくださいました。
それがここ数年、自社栽培する生産者や信頼できる農家に契約栽培をお願いし、ワイナリーの思い通りの葡萄を栽培していただくことができるようになり、それに伴い、生産者達の技術と設備も急速に上がり今では素晴らしいワインが次々と生み出され、世界的なコンクールでも金賞を受賞するなどグローバルな水準にまで達しています。
(除草剤を使用していないので、雑草が元気良く生えています)
しかしながら濃縮還元ジュースやバルクワイン等を全く使用しない生産者はまだまだ少なく、日本最大の産地である勝沼を例にとりますと32あるワイナリーの内、国産葡萄を100%原料に使用しているのは日本ワイン界の神様と言える大村春夫氏の「ルバイヤート」と前述のフジッコワイナリー「フジクレール」、小さいながら素晴らしいワインを造る「原茂ワイン」、自然栽培に挑む「キャネーワイン」ぐらいで、他にも「グレイス」など100%国産葡萄使用に向けがんばっているところもありますが、まだまだその数は少数派です。
日本ワイン界の神様、大村氏は久しぶりに訪問したところテレビの取材中でした。
取材&仕込みの真っ最中にも関わらずお時間をいただきありがとうございました。
こういった地道に良いワインを造ろうとしている生産者の横で、中身は100%濃縮還元ジュースにも関わらず、いかにも「○○産」のワインらしく販売している生産者(工場)は非常に嘆かわしく思います。
皆さん、こんなことを頭に入れてみてから是非一度、葡萄栽培から醸造、熟成、瓶詰めまでしっかりと造られた国産ワインを口にしてみて下さい。
特に「甲州種」より造られたワインは日本が世界に誇るべき物だと思っております。
甲州種より造られるワインは辛口から甘口、樽で長期熟成した物などバリエーションが豊富で、何と言っても魚料理に相性が良いという特性があります。
ワインと魚を口にし何とも言えないあの生臭さを経験した方は多いと思いますが、これはワインの特性でワインが持っている成分が魚の生臭さと反応し、あの強烈な臭さを出してしまうことに原因があります。
しかし「生ガキとシャブリの組み合わせは最高だ」とよく耳にしますね?これは正確に言えばフランスだけでなくヨーロッパにおいて自分たちの文化にある飲み物の中でシャブリに合う物はシャブリ(白ワイン)しかない」ということだと思います。
彼等の文化に「日本酒」と同じような物が存在していたならば、間違いなく「生ガキと日本酒の組み合わせは最高だ」となることでしょう。
誤解のないように書いておきますが、もちろん「生ガキとシャブリの組み合わせは最高だ」という言葉の通り、最高となりえる組み合わせはもちろんあり、それは牡蠣の生産地や種類とシャブリのスタイルによって大きく変わっていきます。あくまで何も考えずただ単に牡蠣とシャブリを合わせても外すことが多いと言うことです。ただ一つ言えるのは「樽熟成」した古典的シャブリを牡蠣に合わせるのは絶対にやめましょう!
通常、白ワインと魚(特に生食)の場合は上記のようになってしまうのですが、甲州種というのは不思議な特性を持っており、その特性というのは日本酒と同じく魚の生臭さを抑えるだけでなく、それを旨味に変えてくれるという成分を持っているため世界で最も魚にあわせやすいワインと言えます。
その特性はロバートパーカーJrが、甲州ワインに高得点を付けたところから世界中に広まり、今や欧米では「スシワイン」として人気を博しています。
お寿司やお刺身を食べるときに是非一度は甲州ワインを試してみてはいかがでしょうか?
また、鯖のみそ煮やすき焼き、肉じゃが等、味噌や醤油を使った和食にはこれも日本の品種であるマスカットベリーAを試してみてください。
両者とも日本酒に負けず劣らず素晴らしいマリアージュを楽しませてくれます。
国産ワインは「生産地に気軽に行ける」というのも楽しみの一つです。
例えば勝沼などではたくさんの生産者が集まっていますので、一軒目にメルシャンやサントリー等の大きな生産者を見学してからフジッコやルバイヤート等の小さな生産者を見て回ると生産工程がよくわかると思います。※一般の方がいきなり小さな所に行ってしまうと工程がわかりづらいです。
そして見学の後には隣の石和温泉でゆっくりと美味しい食事とワインを楽しむのがおすすめですよ。
今回は日本の葡萄品種のみにスポットが当たってしまいましたが、カベルネやシャルドネといった欧米品種も驚くべき進化をしています。そのお話しはまたの機会に書きますのでお楽しみに!
ヨーロッパ品種で本当に美味しいのなんてあるの!?という方には
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